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検査や治療といった医療行為は、患者さんと医師との共同作業です。 より良い治療を受けるためには、患者さんと医師とのコミュニケーションが大切です。時には複数の専門家の意見を聞くことで、患者さんに有利な治療が受けられることがあります。
患者さんと医師との関係では、「先生の言うことに全て従います」というような従来型の慣習が長く続いていました。しかし現在では、対等な立場で治療の方針についてコミュニケーションをかわし、患者さん自身が治療法を選択していく流れに変わりつつあります。主治医の治療方針に疑問があるケースや、あるいは主治医を信頼しているものの、他の医師の意見も聞きたいという場合には、セカンドオピニオンを求めることが患者の権利として認められています。主治医以外の医師に意見を求めるなんて失礼だし、主治医の先生に怒られるのでは、と考える患者さんもいるようですが、いまやセカンドオピニオンは当たり前。患者の知る権利(インフォームドコンセント)や治療許可を与える権利と同じように、患者の権利として認められているのです。
まず大切なのはコミュニケーション。自分の大切な歯だからこそ、主治医の先生としっかり話し合いましょう。
せっかく時間をかけて矯正器具をはめたものの、痛みが続いたり、不安な気持ちになり悩むケースがあります。こんな時に一人で落ち込んでいても問題は解決しません。主治医の先生の意見を聞いて、どこに満足できないのか、どうしてほしいのか、など自分の意見をはっきりと伝えましょう。それでも不安が解消しなければ、他の医師の意見を聞いてみてもよいでしょう。その時には、セカンドオピニオンを受けるということを知らせた上で、主治医の先生から紹介状を書いていただきます。また、口腔内写真、顔面写真、セファロ、パノラマなどの資料も一緒にいただきます。別の医師にこれらの資料を渡し、面談したうえで意見を伺います。
十分な矯正期間をかけたにも関わらず、うまく治っていないと感じたら、矯正後であってもセカンドオピニオンを受けることは可能です。この場合も治療した主治医から紹介状や資料をもらう必要があります。新しい医師に相談し、どのような治療をしたのか、仕上がりに満足できていない点はどこか、などをしっかり伝えた上で、アドバイスをもらいます。その上で再度の治療が必要であれば、別の歯科医院に診てもらうことになります。注意したいのは、治療後に一定期間が経過している場合は、初診扱いとなってしまうことです。セカンドオピニオンを受ける場合には、できれば治療中に、あるいは治療後であればできるだけ早期にご相談されることをお勧めします。
セカンドオピニオンを受けるには、一定の決まった手順があります。 より良い治療のためにセカンドオピニオンの流れを理解しておきましょう。
主治医の先生にセカンドオピニオンを受けることを淡々と伝えましょう。セカンドオピニオンを受けることは患者としての当然の権利なので、萎縮する必要はありません。普段先生と接している感じで伝えましょう。その上で紹介状を書いてもらったり、これまでの治療で使った資料コピーをいただきます。
紹介状と資料を入手した後で、セカンドオピニオンを受ける先生に連絡をしましょう。歯並びや歯の状態は1人1人違うので、多くの臨床経験を持つベテランの医師を選びましょう。また、知り合いからの口コミも重要な情報です。
いよいよ予約日になりました。紹介状と資料を忘れずに持っていきましょう。セカンドオピニオンを受ける時間は概ね30分から1時間程度です。伝え忘れることがないように、自分の歯の状態や治療方法、悩み事、前の主治医への不満などがあればメモしておいた方がいいでしょう。アドバイスについては口頭だけではなく文書で回答してくれる矯正歯科医も増えています。
お医者さんであれば、他の医師からの客観的なコメントは気になるものです。セカンドオピニオンで受けた説明はぜひ主治医とも共有しましょう。新しい気づきが、より良い治療に結びつくかもしれません。積極的にコミュニケーションを取りましょう。
主治医に支払う金額として、紹介状及び治療に関わる資料の作成費用として10,000円から30,000円ほど(税不明)の費用が必要です。またセカンドオピニオンを受けたい歯科医師には、実費として10,000円から40,000円ほど(税不明)の費用が掛かります。またこれらの費用は保険適用外となりますのでご注意ください。実際に掛かる費用の詳細に関しては、直接担当医に尋ねてみるとよいでしょう。
歯列矯正を専門とする歯科医師の中でも、治療経験や臨床数などはそれぞれ異なります。セカンドオピニオンを受ける際には、できるだけ経験と実績のある歯科医師を選ぶべきです。ホームページなどで情報を公開している歯科医院も増えてきました。またセカンドオピニオンにおいて正しいアドバイスを受けるためには、患者さんの歯の状態やこれまでの治療履歴などの基礎的なデータを共有することが重要です。
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