矯正治療中に歯茎から血が出る理由は？原因と対策について

歯茎から血が出る原因

歯茎からの出血の原因は、多くが歯肉炎や歯周病とされています。が、他にも考えられる原因や要因があります。どんなものなのかを知って、予防につなげていきましょう。

原因1.歯肉炎や歯周病

一般的に、歯ぐきからの出血の原因の90%は歯肉炎や歯周病だとされています。矯正治療中においても歯肉炎・歯周病を発症している可能性があるため、出血した場合は注意が必要です。

そもそも歯肉炎とは、歯垢の中に存在する細菌から出る毒素が原因となって、歯茎が炎症すること。これによって出血し、さらに進行すると歯周病となります。

歯茎の炎症は、糖尿病、白血病、更年期や妊娠中等によっても引き起こされる場合がありますが、特に矯正中はマウスピースなど矯正器具の間に歯垢が閉じ込められ、細菌が繁殖しやすくなるので、そのリスクも高くなるため、日々のケアが欠かせないのです。

原因2.強い力で歯磨きをしていた

炎症などの内的な要因でなくても、歯茎への外的な刺激によって出血する場合があります。歯磨きの力加減なども一つの要因で、歯磨きによって歯茎を傷つけ、出血することもあります。

歯磨きに最適な力加減は『歯ブラシの毛先が広がらない程度』。かなり弱い力に思えますが、強い力で歯ブラシを歯に押し当てると毛先が広がってしまい、効率的に歯垢を落とすことができず、歯肉炎に繋がってしまうこともあります。一度歯磨きの力加減を見直してみましょう。特に男性の方はそもそもの力が強いので、歯ブラシの硬さを普通から柔らかめにすると良いでしょう。

原因3.ホルモンバランスの変化

思春期や妊娠中など、ホルモンバランスが変化する時期は、歯茎の炎症が起こりやすいとされています。女性ホルモンによる血流の増加や菌の影響などが主な原因とされています。

特に妊娠中は、つわりや体調の変化などでブラッシングが困難になることもあり、急激な変化が起きやすいこと、また、この時期に歯周病が悪化すると、早産や低体重児出産の可能性も高まるとされているため、妊娠中の矯正治療では適切なケアが重要です。

矯正治療中に妊娠をした場合は、体に無理のない程度に、受診や歯科医師への相談をしていきましょう。

原因4.IPR

IPRとは、特にインビザライン矯正の際、中でも調整日によく行われる治療の一環で、歯並びを整えるのに必要となる空間を作るために、歯をやすりで削る、ディスキングとも呼ばれてる作業のことです。歯を歯茎のぎりぎりまで削っていくため、処置の当日は歯ぐきからの出血が起こる場合があります。IPRでの治療後に出血をした場合は治療が原因の可能性があるので、医師に相談してみるとよいでしょう。

原因5.矯正装置を外す時に傷ついてしまった

インビザラインなど、矯正装置を外す際に歯茎を傷つけてしまい、出血してしまうという例もあります。マウスピース型の矯正装置の着脱の場合は、一気に外そうとせず、奥歯の内側の方から片側ずつ浮かせて、前歯の部分から外す必要があります。ある程度の慣れが必要であることもあり、慣れないうちは歯茎を傷つけないように外そうとして、逆に爪が割れてしまうこともあるようです。

このような事故やけがを防ぐために、取り外しを助けてくれる「イージーリフト」と呼ばれる器具が販売されているので、使用してみても良いでしょう。

歯茎の出血への対策は？

歯茎からの出血の原因や要因が分かってきました。では、出血しないためにどんな対策をとれるのか知っていきましょう。

正しいブラッシングを学ぶ

ケアの基本はブラッシングです。正しいブラッシングを学んで、対策をしていきましょう。

歯磨きの目的は、実は歯のエナメル質を磨くことではなく、歯と歯茎の間を洗うこと。毛先の開いていない歯ブラシを使い、毛先が歯と歯茎の間に沿うようにして、軽いタッチで磨いていきます。約45度の角度を意識しつつ、小さく前後に動かしながら磨きましょう。

また、歯磨きだけでは歯垢は約6割程度しか落とせないと言われています。虫歯や歯周病のリスクを軽減するためには8割以上の歯垢を落とす必要があると言われており、デンタルフロスや歯間・タフトブラシを使用することが推奨されています。

これらは歯の間に詰まっている歯垢を取り除くのに優れています。特に矯正治療中、ブラケットなど自分で取り外しのできない矯正器具の場合は汚れが溜まりやすいため、そのようなプラスアルファの器具はもちろん、矯正専用の歯ブラシなどもあるので、併せて口内環境を清潔に保っていきましょう。

クリニックでのクリーニング

歯磨きをどんなに頑張っても、取りきれない汚れは出てきます。特に矯正治療中は、虫歯や歯周病になると進められない治療や処置もあり、矯正を中断しなければならなくなってしまう場合もあるため、歯科医院での定期的なクリーニングを受けることが重要です。

歯科医院では、日頃歯磨きでは落としきれない汚れの除去や、虫歯にならないようにするための「フッ素塗布」も受けることができます。他にも、状況に応じて必要な治療法や処置を教えてくれるでしょう。

しっかりと歯科医師と治療について話し合った後、口内環境を整え、矯正治療を計画通りに進めていきましょう。